「赤ちょうちん」に人が惹きつけられる理由を知っていますか?

「赤ちょうちん」に人が惹きつけられる理由を知っていますか?

(igaguri_1/iStock)

 庭に出していた鉢植えのリンドウの花びらがすべて枯れてしまった。

 見渡せば、庭の片隅に咲いていたヒガンバナもとっくに倒れてしまったし、フェンス沿いの白いハギの花もすでに散っている。

 スイセンの葉が伸び始めたこの頃、秋の花の季節は終わりを告げ冬も間近だ。

 この時期はしかし、庭の数少ない果樹が実をつける時でもある。今年は、ユズはさっぱりだが、カキが例年にない豊作だ。

 我家のカキは甘柿ではなくて渋柿である。

 鳥取県の生家の庭には渋柿の木が1本あって、その実と同じ種類だから、亡父が今の家を建てる時に意図的に植えたものだ。

 ともあれ、子供時代の味覚を半世紀以上経っても変わらず確認できるのは喜ばしい。

 小学校低学年の頃、我家の渋柿の実を管理していたのは80歳前後の曽祖母だった。大半は早々に皮を剥いて干し柿に加工するのだが、時折は樹上に残っている完熟柿を先端の割れた竹竿で小枝ごと折り取って、真っ赤な熟柿を私や弟たちに手渡してくれた。

 これが、実に何とも美味だった!

 トロトロの果肉の中にゼリー状のツルンとした部分があって、スプーン(当時は匙)ですくって頬張ると、まさに至福の甘味。

 近所の友人の家で、甘柿や別種の形の違う渋柿の熟柿を食べさせてもらうこともあったが、「うちのが一番」といつも思った。

 この他に、曽祖母はよく、渋柿の渋抜きをして私たちに食べさせてくれた。

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