食品への異物混入苦情、消費者に翻弄される異常ニッポン

食品への異物混入苦情、消費者に翻弄される異常ニッポン

図1 商品苦情件数の年間変動(2000年、2005-2009年度)※日本生活協同組合連合会商品苦情データベースを基に佐藤邦裕さん作成事件事故が起きると苦情件数が跳ね上がるのが見て取れる(出典:「食品と科学」2012年8月号) 写真を拡大

 神奈川県大磯町の中学校の給食問題、皆さんはどのようにご覧になっていたでしょうか。2016年1月から事業者委託の弁当方式ではじめられた給食。異物混入が相次ぎ味も悪く残食が多いとして、今年9月に問題が表面化しました。

 町によれば、16年1月からの異物混入は84件(毛髪39件、繊維14件、虫7件、ビニール片4件など)。毛髪が束になって入っていた、という苦情もあったとされています。しかし、工場内で入ったことが明確なのは毛髪3件、繊維2件、虫1件、ビニール片4件など計15件にとどまっています。

 報道によれば、事業者は10月13日を最後に納品を中止し、町は別の事業者に弁当提供を要請していますが、3社に断られたとのことです。

 断られるのは当たり前でしょう。事業者にしてみれば、弁当を提供し始めたときに、努力いかんにかかわらず、同じように苦情が多発するのが目に見えているからです。

 食品に毛髪や虫等の異物が入っていた、という事例はよく、世間を騒がせますが、その多くは実は、生産の際には入っていません。消費者段階で入っています。しかし、事業者は謝っているのです。原因を突き止めるにはコストと時間がかかります。さっさと謝ったほうが多くの場合、騒ぎになりにくく、クレーム内容がSNSなどで一方的に流されることもなく、最小限の影響で済みます。

 「業者の管理がずさん」などと消費者の苦情をそのまま報道するメディアは、食品業界の異物混入苦情の実情を知っているのでしょうか。

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