時間の記憶をとらえた写真家・石内 都の世界

時間の記憶をとらえた写真家・石内 都の世界

石内 都 《Frida by Ishiuchi #107》 2012年? Ishiuchi Miyako

 廃墟のようなアパート、身体に残る傷跡、生前の記憶をとどめた遺品─。写真家、石内都(いしうちみやこ)の作品は時間の流れをまとった風景や人、物に象徴される。デビュー40周年を迎えた今年、国内では8年ぶりとなる本格的な個展が横浜美術館で開かれる。

 昭和22年(1947)、群馬県桐生市に生まれた石内は、少女時代を神奈川県横須賀市で過ごし、昭和52年、初めての個展「絶唱、横須賀ストーリー」のモノクローム作品で注目を集める。近年では被爆者や、メキシコの画家フリーダ・カーロの遺品を撮影したシリーズ作品が話題となった。

 本展では、石内作品の本質を表す言葉「肌理(きめ)」をキーワードに、記憶と時間の痕跡を表現した作品約240点を紹介。今は失われた横浜の風景をとらえた「アパートメント」や「連夜の街」といった初期作から、最近の未発表作まで、活動の軌跡をたどる。

 なかでも、石内が遺品と向き合うことで生まれた「ひろしま」や「フリーダ・カーロ」などの作品群は、これまでの概念を払拭し新たなイメージを想起させる作品として世界的に高く評価されている。

 会期中、同館のコレクション展では石内作品の原点となる「絶唱、横須賀ストーリー」全55点が展示されるので、あわせて鑑賞したい。


*情報は2017年10月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください

  
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◆「ひととき」2017年12月号より

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