「保守的なキリスト教信者の性的スキャンダル」が共和党に与えた衝撃



 ムーアは、政治の世界に神の真実と信仰を取り戻す必要性を強調している。中でも人工妊娠中絶や同性愛、婚外子の問題が蔓延していることがアメリカ社会を根本から揺るがしていると主張し、とりわけ同性愛行為は子どもに害悪を及ぼすことから違法にしなければならないと繰り返し主張していた。このように厳格にキリスト教倫理を守るよう説く人物が未成年の女性に性的関係を迫り、強制していたことは、言うまでもなく衝撃だったのである。

■最も保守的な州の一つ、アラバマ州は共和党の地盤

 アラバマ州は全米中最も保守的な州の一つとされており、住民の50%以上が宗教的に福音派(エヴァンジェリカル)だとされている。福音派はアメリカの南部に多く、神と霊的に交わるという回心体験を重視していて、プロテスタントで独特の位置を占めている。

 アメリカのプロテスタントの主流派は、隣人愛や慈善を重視した活動を展開している。だが、多民族性、多人種性を特徴とするアメリカで隣人愛や慈善活動を重視すると、人種問題に直面せざるを得なくなる。奴隷制の問題を抱えていた南部ではとりわけ、この問題は顕著となる。そこで南部では、隣人などに気をまわすよりも自分自身に特化し、聖書の文言を一言一句厳格に守ることによって自らの信仰の純正さを神に訴えかけようとする信仰スタイルが発達した。このような原理主義的な解釈をする人のうち、政治問題に強い関心を示す人々のことを福音派と呼ぶことが多い(ただし、異なる使い方をすることもある)。

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