五輪ボイコットを捨て、実を取ったプーチン大統領の選択

五輪ボイコットを捨て、実を取ったプーチン大統領の選択

2014年のソチ五輪、優勝したフィギュア団体のメンバーを祝うプーチン大統領(写真:ITAR-TASS/アフロ)

 平昌冬季五輪をボイコットすべきだ――。国際オリンピック委員会(IOC)がロシア選手団の平昌五輪参加可否を発表する前、ロシアではドーピング問題は米国がロシアを貶めるために作り出した陰謀であるとして、強硬論が渦巻いていた。

 しかし、その雰囲気は鶴の一声で一変した。「私たちはどんな封鎖策も宣言しないし、個人的資格で参加したい選手たちを邪魔することはしない」。IOCや米国を批判していたプーチン大統領その人が、決定が下された翌日の12月6日、IOCが引いたライン通り、国旗なし・国歌なしの中立選手として、ロシア人選手が出場することを容認した。

 黒帯の柔道家であるプーチン大統領が、一部のスポーツ界から懇願されていた声に耳を傾けたことが路線急変の一番の理由ではない。大統領にとって最も大事な来春の大統領選挙に勝つために、緻密な戦略の下で、名を捨てて実を取る決断をしたのである。その政治判断は一方で、「21世紀の皇帝」の下で一枚岩に見えるロシアの政治体制が弱体化しており、いつ反乱の導火線が着火するかわからないシナリオが現実の物として存在していることを意味する。

■不正は国家ぐるみのものと断定された

 ロシアではソ連時代から続く国是で、政治とスポーツは一体化しており、五輪は国威発揚と政権浮揚のために政治利用されてきた。冬のスポーツ王国ロシアが五輪で負けるようなことがあってはならない。ところが、2010年のバンクーバー五輪でロシアは史上最悪の惨敗を喫した。

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