暴走するサウジ皇太子の強権発動

暴走するサウジ皇太子の強権発動

(afby71/iStock)

 中東レバノンのハリリ首相の突然の辞任劇はサウジアラビアを牛耳るムハンマド皇太子の暗躍によるものだったことが明らかになった。米ニューヨーク・タイムズ(12月24日付)が伝えた内幕は皇太子が国内だけではなく、国外の政治をも自分の思い通りに操ろうとしている驚くべき実態を浮き彫りにしている。

■用意されていた辞任演説

 このストーリーに入る前にレバノンの現状を説明しておく必要があるだろう。モザイク国家レバノンは、かつては中東のスイスと呼ばれ、夜の街でも繁栄を誇ったが、イスラム・キリスト教徒の内戦、パレスチナ・ゲリラの支配を経て、今はシーア派武装組織ヒズボラが政治、軍事両面を牛耳っている。

 2016年10月、空白が続いていた大統領にキリスト教マロン派のアウン元司令官が選出され、スンニ派のサード・ハリリ氏が首相に、ヒズボラに近いシーア派のベリ氏が国会議長に就く挙国一致内閣が2年ぶりに発足した。その内実はヒズボラがシーア派の盟主イランの支持を、ハリリ氏がスンニ派の守護者サウジアラビアの後押しを受けるという、それぞれ後援者が付いたものだった。

 しかし、サウジアラビアはこのところ、ヒズボラがシリア内戦に出兵し、さらには敵対する隣国のイエメンに軍事顧問団を派遣するなど影響力を強めていることに苛立ちと怒りを強めていた。こうした中で、ハリリ首相は10月下旬にサウジを訪問、ヒズボラの台頭に不満をぶつけるサウジ側をなだめていた。

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