「IS打倒」宣言が正しくない理由

「IS打倒」宣言が正しくない理由

(Nomadsoul1/oguzdkn/iStock)

3月23日、米国が支援するSDF(シリア民主軍)は、ISの最後の拠点を陥落させた。SDFの司令官は、同日、「ISを打倒した」と宣言した。確かに、領土を持った「カリフ国」としてのISは終わった。しかし、ISは真に打倒されたと言えるのか。この点について、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのFawaz Gergesは、3月23日付けでニューヨーク・タイムズ紙に掲載された論説で、ISは打倒されていない、イラク、シリアで潜伏、再起の時を待っている、と分析する。論説の要点を紹介すると、次の通りである。

・ISは打撃を受け、イデオロギー・作戦上は弱体化されたが、打倒されたとは言えない。そのネットワークは未だ機能している。アラブ・イスラム世界の政治の破綻、政治制度の脆弱性と正当性の欠如、地政学上の競争と外国の干渉というISが生まれた原因が続けば、IS等は再起する。

・ISを生み出す第一の要素は、統治の崩壊とシリア、イラク、リビア、イエメン、エジプトのシナイ半島、西アフリカ、アフガニスタンにある無政府状態の空間である。不十分な中央や地方の政府、あるいは政府の欠如は過激派の格好の温床になる。

・第二の要素は、スンニーのサウジアラビアとシーアのイランの激烈な冷戦である。両国の対立は地政学的なものであるが、イラク、シリア、レバノン、イエメンなどでは地方での宗派対立にもなっている。

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