「IS打倒」宣言が正しくない理由

妥当な分析をした、非常に良い記事である。

 イラクの現状は、シーア派の中央政府がスンニー派地域への対応を怠っており、ISはそれに付け込んでいる。そして、最近のトランプ政権による米・イラン対立激化がイラクの中央政府の弱体化を助長し、それがISを勢いづかせている。シリアでは、ISはトルコによるクルド抑圧と米軍の撤収により生じる真空に入り込もうとその時が来るのを待っていると思われる。

 SDFがISの最後の拠点を制圧したことは良い知らせである。しかし、それは対症療法が終わったに過ぎない。根本解決は終わっていない。論説の言う通り、カウンター・テロ戦略だけでは十分でなく、長期的な経済、政治、イデオロギー戦略が必要であると思われる。戦闘が唯一の雇用になり、過激活動が生活手段になることを先ず断ち切らねばならない。過激派の高まりやアラブの春の根本原因は雇用にあったと言っても過言ではない。

 トランプの中東政策は、サウジとイランなどの地政学上の競争やアラブ・イスラエル対立を煽るというものである。これがうまく行くとは思われない。米国はそうした対立を煽るのではなく、モスレム社会の和解・再建を支援すべきなのであろう。論説は「トランプはそのような賢明な戦略をとる願望もビジョンも持たないだろう。しかしISに対して真に勝利したいのであればトランプは自分の行動の長期的な結末を考えるべきだ」と手厳しい。

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