急成長を遂げた「人民元建て原油先物市場」の行方



 2つ目の理由は、上海市場の参加者のほとんどが国内のプレイヤーであることの背景と関わりがある。海外プレイヤーがなぜ参加していないかというと、市場への信頼性にまだ課題があるということだろう。16年初に上海株が暴落した際に、中国政府が市場に強力に介入したことの記憶が新しい。その結果、海外の潜在的なプレイヤーが中国の「市場」全体に対する透明性や信頼性に不安を持つようになったと考えられる。市場への信頼性に課題がある現状のままでは、中国以外のプレイヤーの大量の参加は見込めず、結果、従来からの3つの国際指標に取って代わる、ということは難しいだろう。

 原油というのは世界最大の国際貿易財である。仮に中国が人民元建ての原油先物市場を真に国際的な市場にすることに成功するならば、ロンドン、ニューヨークに並ぶ、エネルギーやコモディティ、金融を含むアジアの一大取引センターとしての地位を築くことに大きく貢献するだろう。

 また、原油は長年ドルとリンクしてきたが、仮に人民元建ての原油取引が活況を呈し、世界の指標になることになれば、基軸通貨であるドルに対抗する通貨として人民元の存在感を高める重要なステップになりうる。中国は、政府として、旺盛な購買力を背景に、中・長期的視点にたち戦略的に動いているともいえる。しかし、市場の信頼性をいかに高められるかが、決定的に重要な課題である。(談)

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