台湾の丸かじり〜東アジアの空間感覚を教えてくれる台湾映画

台湾の丸かじり〜東アジアの空間感覚を教えてくれる台湾映画

『若葉のころ』(ジョウ・グーダイ監督)

台湾は地理的に、日本・中国・アメリカという三つの大国に囲まれている。そして台湾に住んでいると、確かにその位置関係と同じく歴史・文化・経済・政治において、それぞれの影響を色濃く受けていると感じる。アメリカと東アジアのもつ煮込み、ごった煮みたいな感じといえばいいだろうか。さらに言えば、この地理関係こそがいまの台湾の複雑さを形づくってきた。

 台湾とアメリカの関係と言われても日本人にはピンと来ないかもしれないが、現在アメリカにおける台湾系アメリカ人は10〜50万人と言われていて、2350万人の台湾の人口比率でいえばかなり多い。台湾政府も中国による統一戦線への対抗策として、アメリカとの関係強化に勤しんでおり、今年中に米政府高官の訪台もあり得ると囁かれているほどだ。

 台湾の生んだ世界的巨匠アン・リーの『推手』という作品でもアメリカに移民した台湾人一家の生活が描かれるが、台湾の現代社会を切り取れば、そこには自ずとアメリカ・日本・中国との関係や履歴の積み重なりが、ミルクレープの断面のように顔をのぞかせる。

 またそこには、元々台湾に住んでいた台湾原住民族や、日本時代以前より移住してきた客家人など、様々なエスニシティの要素も入り混じる。台湾社会を撮った映画というのは自ずと、そうした地図上の台湾という輪郭やサイズに収まらない、広く東アジアを俯瞰するような空間感覚・歴史感覚が織り込まれる。

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