変化を恐れない生徒を育てる改革派校長

変化を恐れない生徒を育てる改革派校長

工藤 勇一(くどう・ゆういち):1960年生まれ。東京理科大学理学部応用数学科卒。山形県・東京都の公立中学校教諭、新宿区教育委員会を経て、2014年から現職。「教育再生実行会議」など多数の公職を務める。(写真・稲田礼子)

今の会社や仕事が、1年後にはどうなっているか分からない。変化に強い組織と個人を育てなければならない─。そんな社会の要請に応えるような教育を実践しているのが千代田区立麹町中学校長の工藤勇一だ。生徒たち自らが手がける行事の企画・運営に、その一端が垣間見える。

 例えば2018年5月に開催された体育祭。多くの保護者が訪れる中、観覧エリアはごく一部に限られ、立ち見を続ける人の姿も多く見られた。大型テントも保護者や来賓客は使用できず、生徒以外は立ち入り禁止。徹底的に「生徒ファースト」が貫かれていた。

 対照的だったのは、同年10月に開催された麹中祭(文化祭)だ。会場の体育館には、ステージから最も近い位置に「保護者優先席」が設けられた。入り口に貼り出されたプログラム表には、冒頭から会場入りできなかった保護者のために、実行委員の生徒によって進行中の演目に矢印のマークが表示されるという配慮も。

 同じ学校の行事なのに、なぜこれほどまでに性格が違うのか。その理由は、企画・運営にあたって工藤が生徒たちに示した「目的」にある。体育祭は「自分たちが楽しむこと」、麹中祭は「観客を楽しませること」。それ以外のこまかな指示はない。生徒たちは開催理念ともいえる最上位の目的を理解し、共有する。そして「目的に合致しているか」を考え、時に激しく議論し、判断するのだ。

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