混乱、対立を自己目的化するトランプのイランへの圧力

米国は、この移転を制裁の対象とすることにより妨害することを意図しているようであり、JCPOAの破壊に乗り出したということかと思われる。

 米国の隠された狙いは、一連の強硬策を通ずるイランのレジーム・チェンジであろうと思われる。しかし、イランのレジーム・チェンジは達成可能な目標とは思われない。最近成功した例はないのではないか。その結果として残るのは、状況の不安定化である。

 トランプの対イラン政策は、不安定化、混乱、対立が自己目的化しているようにさえ見える。こうした中でイランをめぐって起こり得るシナリオとしては、偶発的衝突の可能性が懸念される。イランやイランと同盟関係にある民兵が、シリア等中東地域に展開しているアメリカ軍への攻撃をする可能性があり、ボルトンは、そういう情報を得たため空母エイブラハム・リンカーンの機動部隊他をペルシャ湾に派遣することにしたという。イラン側としては、石油輸出が封じられることになれば、イランがホルムズ海峡の封鎖の挙に出ることもあり得よう。原油および天然ガスの3分の1がこの海峡を通過する。イランには高速攻撃ボート、潜水艦、対艦ミサイル、機雷などがあり、タンカーの通過を遮断する能力はあると見られる。

 仮に米国とイランとの間で武力衝突が起きるようなことがあれば中東は大混乱に陥る。確かに、イランが中東全域で民兵を支援していることや弾道ミサイルを開発していることに対するトランプの懸念は正当なものではあるが、米イラン衝突の責任は、トランプ政権がその多くを負わねばなるまい。

  
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