中国による反体制追跡を可能にする香港の犯罪人引き渡し法改正

現行の「逃犯条例」には「香港以外の中国その他の地方にはこの条例を適用しない」ことが規定されており、したがって、台湾(この場合、中国の一部との扱い)には引渡すことが出来ないという訳である。問題になっている改正案は「逃犯条例」からこの規定を削除するものらしい。これによって、中国本土、台湾、マカオへの犯罪人引渡しの道が開けることになる。

 この改正案に対して香港で恐怖が抱かれる理由は完全に理解出来る。香港には汚職のような罪で追われている300人を超える中国人が潜んでいるという事情はあるらしい。しかし、逃犯条例が利用され、反体制派、人権活動家、ジャーナリストなど、中国の気に入らない人士が色々な理由をでっち上げられて拘束され、中国に引渡される事態は容易に想像し得る。

 香港当局は、政治的動機に基づく引渡しはないと保証すると言っている。重大な犯罪のみに対象を限定し、9つの経済犯罪は対象から除外した。それでも反対の声は収まらないであろう。

 中国と犯罪人引渡し条約を有する国は40程度あるらしい。しかし、先進民主主義国は殆ど含まれていない。例外はフランス、イタリア、スペイン、韓国である。香港から中国への引き渡しが可能になれば、地域のビジネス展開の拠点としての香港の魅力を減じることになるであろう。

 中国外務省の報道官が、英中共同宣言は「最早如何なる実際的な重要性も有しない」と言い放ったのは、返還20周年を前にした2017年6月30日のことである。

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