「一帯一路」を左右するパキスタンの財政運営

パキスタンの対中経済依存である。とりわけ、一帯一路の一環である「中パ経済回廊」の建設が大きい。回廊の建設総額は約600億ドル、パキスタンのGDPの5分の1に相当する巨額なものと言われる。建設に必要な電気設備や鉄鋼製品などの中国からの輸入が急増しているという。中パ間の関連する融資契約の多くは不公表であるが、回廊の建設がパキスタンの対外支払いの大きな負担になっていることは間違いない。

 このような事情を踏まえ、パキスタンのカーン首相は昨年11月に訪中し、習近平国家主席らに支援を要請、中国政府は約21億ドルの財政支援を約束した。パキスタンはこのほかにもサウジアラビア、UAEからの支援を取り付けている。IMFはパキスタン支援を決めるに際し、これらの二国間ベースの支援も考慮に入れたものと見られる。「中パ経済回廊」の建設を含め、中国に対する経済依存の見直しも迫られざるを得ないだろう。

 「中パ経済回廊」は、中印係争地帯を通過するなど、インドを強く刺激する内容である。もちろん、一帯一路全体が、中国の影響力拡大を狙った世界的規模の戦略的ツールである。パキスタンの対中依存度が低減し、「中パ経済回廊」に綻びが生じるようなことがあれば、地政学的な意味が小さくないと思われる。最近、中国は一帯一路関連を含む対外融資に、ある程度の規律と透明性を導入するよう努めているようにも見える。パキスタンの事例は、一帯一路の行方を占うものとして、引き続き注目していくべきであろう。

  
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