「終身雇用」はなぜ、日本社会に定着したのか?

「終身雇用」はなぜ、日本社会に定着したのか?

iStock / Getty Images Plus / taa22

5月、経団連の中西宏明会長やトヨタ自動車の豊田章男社長が相次いで日本における終身雇用制度の継続が難しいとの認識を示し、雇用慣行の見直しを呼びかけた。これはもはや、日本産業界の終身雇用に対する「終末期宣告」と認識すべきだろう。

■「善悪の二極化」は危険

 終身雇用の継続が難しい。これは何も今になって分かった話ではない。数年ないし十数年前から状況に気付いた経営者や従業員は大勢いただろう。ただタブー化された話を誰もが堂々と言い出せなかった。それだけのことだ。今回は財界の大物がそろって明言したことで、やっと事実が確定したという感じだった。

 これを受けて、終身雇用を悪者扱いするような論調も出始めた。終身雇用があたかも日本企業や日本経済の成長を妨害する元凶であるかのように表現すれば、それを切り捨てることへの納得感も得られてよいのかもしれないが、単純な善悪の二極化ほど危険なものはない。まずは失敗の本質を突き止めてから、次の一歩を踏み出すべきではないだろうか。

 必ずしも妥当とは言えないかもしれないが、戦争を例にすると分かりやすい。戦前や戦争を全否定するのは簡単だが、「なぜ戦争に突入したのか」「なぜ戦争に負けた(勝てなかった)のか」「もし戦争に勝っていたら、それでも戦争を否定するのか」を問うには勇気が要る。

 あえて言うならば、日清戦争や日露戦争で日本は戦勝し、大きな賠償金を得たことやアジアの近代国家と認められて国際的地位が向上したこと、そして戦争で潤った国内経済のおかげで産業が発展し、工業化の第一歩を踏み出したことを目の当たりにして、戦争は儲かる手段だと当時の日本人は安易に考えた。

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