メイ首相を辞任に追い込んだアイルランド国境問題

メイ首相を辞任に追い込んだアイルランド国境問題

(Waldemarus/PaulFleet/Photitos2016/iStock)

英国のメイ首相は5月24日、刀折れ矢尽きて涙の辞任表明を行った。Brexitの実現のため最後の企てとして6月3日の週に下院で4度目の投票を求めるとしていたが、これを行い得ないまま首相官邸を去ることになる。労働党との協議にかじを切って以降、メイの求心力は急速に失われ、再度の国民投票の可能性を示唆した結果、自らとどめを刺す形となった。

 メイ首相の辞任について、5月24日付けのフィナンシャル・タイムズ紙社説‘Theresa May’s departure will not break Brexit deadlock’は、「メイの致命的失敗はBrexitを如何に実現するかについて超党派のコンセンサスを形成することを怠ったことにある」と主張する。2016年の国民投票の結果は離脱:52%、残留:48%の僅差だったのだから、Brexitの態様は慎重に検討されるべきだったとも主張する。これ以上後がない所に来てようやく労働党に協議を呼び掛けたのだから、余りにも遅すぎた、という訳である。

 勿論、社説がいうような努力はなされて良いが、政権はその責任において対外交渉に取り組み、その結果を議会に諮るのが通例のやり方だと思われる。国の一大事だと言えばそうであるが、野党と協議の上で対外交渉する方式は聞いたことがない。保守党がその種の協議を支持したかも疑問である。仮に、EUとの交渉に先立ち労働党との協議を遂げていたとしても、どれ程違った戦略が描けたか。

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