世界最低レベルの日本のエネルギー安全保障はさらに悪化する

世界最低レベルの日本のエネルギー安全保障はさらに悪化する

(nightman1965/gettyimages)

故堺屋太一氏が小説家としてデビューしたのは1975年に出版された『油断』だった。当時、日本は1次エネルギー(電気、都市ガスなどの二次エネルギーに加工される前のエネルギー資源)の4分の3以上を主として中東からの石油に依存しており、石油輸入が途絶した際の混乱した社会状況を描いた小説だった。

 実際に、日本は小説発表の2年前に発生した第一次オイルショックにより油が断たれるかもしれない危機を経験していた。親イスラエルとみなされた輸入国向け中東原油輸出中断の対象国に日本がなる可能性があったからだ。

 石油価格が4倍に上昇した第一次オイルショックを経験した日本を初めとする先進国は、エネルギー安全保障の強化を狙い、エネルギー供給源の多様化による安定化を図った。日本を含む多くの先進国が石油への依存度を下げるため取り組んだのが、石油の値上がりにより相対的価格競争力が増した石炭への燃料転換と原子力発電の本格導入だった。

 多くの国が石炭への燃料転換を進めたのは、価格以外にも理由があった。当時の石炭の輸出国は、北米、豪州と政治的に安定している国が中心であり、さらに、南アフリカ、ソ連、中国と供給地域が分散されていた。中東に輸出国が多く、石油輸出国機構(OPEC)が価格と生産量に影響力を行使する石油と大きく異なる点だった。

 フランスは原子力中心の電力供給体制実現に向け大きく舵を切ったが、米国、日本、ドイツなど多くの国も石油への依存度を下げるべく原子力導入を進めた。

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