欧州議会選挙が示す民主主義のジレンマ

ポピュリスト政党と反エスタブリッシュメント政党、ユーロ懐疑派政党を含めた反EU派の全体の得票率は約30%であり、今回の選挙がEUについての信任投票の意味も持っていたとすれば、EUの主権者の大半が依然EUを支持していることが明らかになったと言えよう。

 第二は、これまで欧州議会を支配してきた二大政党が大敗したことである。これは、国レベルでの既存政党に対する不満の高まりを反映するものである。その結果、欧州議会では二大政党が初めて過半数を失い、リベラル派の「欧州自由民主同盟」ほかを合わせてようやく親EU派が過半数を維持することになる。

 これは、欧州がかつてないほど分裂していることを象徴している。欧州議会では、今後、移民問題や財政規律の問題で議論がなかなか集約せず、審議が停滞することも予想される。

 それは欧州議会にとって残念なことでもある。今回の選挙ではポピュリスト政党の躍進の可能性に対する危機感もあって投票率が大幅に上昇し、これまで多くの欧州人にとって遠い存在であった欧州議会に対する関心が高まった。欧州議会の存在感が増し、欧州議会の正当性が広く認められたことになる。その欧州議会で与党の過半数が多数の政党からなるもので、容易に動きが取れないとなると、今回の選挙で示された欧州議会に対する期待が裏切られることになりかねない。

 これは、EUへの信任がなされた結果であり逆説的なことではあるが、民主主義を重視し、多様性を基礎とする欧州では仕方のないことで、現在の姿を現しているのだろう。

関連記事(外部サイト)