香港「逃亡犯条例」改正問題でわかる一国二制度の危うさ

香港「逃亡犯条例」改正問題でわかる一国二制度の危うさ

(juliaart/claudenakagawa/underworld111/iStock)

香港では、3月にキャリー・ラム(林鄭月娥)行政長官が提案した「逃亡犯条例」改正案を巡り、住民の反対運動が高まり、6月9日には100万人規模のデモに至った。これを受け、ラム長官は改正を無期限延期するとしたが、収まらず、16日には200万人規模とされるデモが発生、同長官の辞任を要求した。

 香港当局が提案した「逃亡犯条例」改正案は、中国本土への犯罪容疑者の引き渡しを可能にするものである。これは大きな問題である。1国2制度による香港の特別な地位は2047年まで続くことになっているが、それが実質的に終わるような効果をもたらし得る。香港当局は否定しているが、政治犯とされる者が香港から中国に引き渡される恐れが排除できない。そうなれば、香港における言論の自由に重大な危機となる。2015年には、中国政府を批判する書籍を販売していた香港の書店員が失踪、その中の1人が中国政府により拘束されていたと証言している。香港住民が、「逃亡犯条例」改正案に関して、本件を想起したことは想像に難くない。大きな反対運動が起きているのは当然である。香港の経済界も、経済環境の悪化を恐れ、反対に回った。

 「逃亡犯条例」改正の提案に至った直接的な契機は、台湾で殺人を犯した香港人の容疑者に対し香港には裁判管轄権がない、裁判のために台湾には引き渡すことも引き渡し協定がなくできない、という事態が持ち上がったことによる。

1 2 3 次へ

関連記事(外部サイト)