なぜトランプは対イラン戦争に踏み切れないか?

なぜトランプは対イラン戦争に踏み切れないか?

(iStock.com/flySnow/Purestock)

タンカー攻撃、米軍無人機撃墜とイラン側の挑発が続く中で、トランプ大統領の対応が揺れ動いている。果たしてアメリカは、かつての対イラク戦争のようにイランへの本格的な軍事行動に踏み切れるのか―。米専門家の多くの見方は否定的だ。背景には、対イラク戦争時とは異なる多くの特殊事情がある。

 本論に入る前に、今回の“イラン危機”はそもそも何から始まったかを振り返る必要がある。

 発端は明らかに、昨年5月、トランプ大統領による国際的取り決め「イラン核合意」からの一方的離脱にある。そして離脱を口実に米政府は対イラン経済制裁を再開した。

 その結果、イランの国民生活にも深刻な影響が広がり、ロハニ大統領は今年5月、国際社会の同情を得るために、アメリカに対する対抗措置として「核合意の一部停止」を発表、それまで凍結されていた低濃縮ウランの部分的生産再開の動きを見せた。

 これをきっかけに、トランプ政権内で好戦派として知られるポンペオ国務長官、ボルトン大統領補佐官らを中心に軍事行動を含む対イラン強硬論がにわかに高まってきた。そして最近1カ月の間に起こったのが、タンカー攻撃と無人機撃墜というイラン側の挑発行為と、「実施10分前」に中止になった対イラン限定攻撃の大統領命令だった。

 言い換えれば、トランプ政権は当初から、イラン核合意離脱と経済制裁再開により、イランのロハニ体制弱体化を図り、反発するイラン側が挑発行為に出るのを待った上で軍事行使に出るというシナリオを描いていたとも言える。

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