出口が見えないシリアの経済的苦境

出口が見えないシリアの経済的苦境

(Maxim Khasanov/Viktor Bobnyev//iStock)

シリアでは、石油の生産が落ち込み、イラン産原油の供給も落ち込んでいるため、経済苦境が悪化している。7月4日のジブラルタル沖でのグレース1号(石油200万バレルを積載したタンカー)の英国による拿捕は、それを象徴する事件のように見える。英国は、同船の貨物はシリア行きであり、欧州海域を通ることで、欧州の制裁に違反した、と言っている。6月には、不可解な爆発が、タンカーからバニヤスの精製所に石油を運ぶ海底パイプラインに損傷を与え、一時的に輸入が停止した。アサド政権はこれを破壊行動であると非難した。

 シリアのGDPは今や内戦前の水準より60%も低くなっている。シリア・ポンドは1ドル50ポンドだったのが500ポンドで取引されている。国連は再建には2500億ドルかかるとしており、これは、戦前のシリアのGDPの4倍に相当する。アサドは廃墟を支配しており、電灯の電気も供給できない。最も近い同盟国イランは経済危機の最中にある。財政が破綻する中、アサド政権は補助金の削減を余儀なくされている。ガソリンの価格は年初からほぼ3倍になった。

 内戦前、シリアは1日に約38万5000バレルの石油を生産していたが、現在は、その10分の1未満である。イランは数年間、このギャップを埋めるため、シリアの現在の消費量の3分の1以上に相当する、日量約5万バレルを低価格で供給した。しかし、イランは米国による厳しい制裁の下で、それができなくなっている。

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