前途多難な次期欧州委員会委員長

前途多難な次期欧州委員会委員長

(ririe777/Raven17/iStock)

欧州議会は7月16日、フォン・デア・ライエン独国防相の次期欧州委員会委員長への就任を秘密投票により承認した。フォン・デア・ライエンとしては中道右派の欧州人民党、社会民主主義のS&D、リベラルのrenew europeの主流派の支持で選出されることを望んでいたようであるが(これら3グループで444票がある)、そうはならず、必要とされる374票を僅か9票上回る383票を得たにとどまる。秘密投票であったため、詳細は不明であるが、ドイツのSPDを含め、かなりの反対票が出たことになる。「緑の党」は事前に反対を表明していたので、殆どが反対に回ったと思われる。この結果、ポーランドの「法と正義」やハンガリーのFideszといったナショナリスト勢力の票に頼る形となった。

 僅差での承認ということで、フォン・デア・ライエン次期委員長の立場が弱いものになるという予測も少なくない。しかし、圧倒的多数を得られなかったことは、必ずしも彼女が弱い委員長を意味する訳では必ずしもない。逆に、大きな支持票を得たとしても、議会運営が容易であることを意味しないであろう。欧州議会も理事会もこれまでになく分裂(特に東西の分裂が大きい)しており、巧く多数派を形成して業務を進めていけるか、フォン・デア・ライエンの政治的技量が問われることになる。

 欧州委員会委員長を含めEUの次期首脳陣の人事は誰もが予想しなかった顔ぶれとなった。

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