二拠点生活はアウトプットまで飛距離ある学びの場

二拠点生活はアウトプットまで飛距離ある学びの場

集落の共同作業での、休憩時間。集まって働き、つながりに厚みができる(筆者提供、以下同)

「平日は東京、週末は千葉県南房総」という二拠点生活を始めて12年以上経っていると、さまざまな質問が飛んでくる。「実際、二拠点生活ってどんなメリットがあるんですか?」といった説明を求められることも、二拠点生活ハウツー本のようなものを書いてほしいと言われることも少なくない。

 ただ、筆者としては常に、何とも言えない違和感がある。「コレを知れば、アレが手に入る!」「コレだけやれば、最短でココに到達!」といった、方法と結果が直結するようなことを求められてもなあ、と戸惑う。みんなが欲しがっているものをうまく提供できなくて、申し訳なく思う時さえある。そんなわけで今回は、二拠点生活ならではの学びとは実際どういうものか、最近の体験をもとに話してみようと思う。

■ある南房総での1日について

 雨降りの合間に土から強烈な湿気が立ちのぼり、身体をぼわっと包むのが何とも暑苦しかった、ある梅雨明け直前の日。数日前に亡くなられた近所のおじいさんの出棺があった。

 ご自宅で亡くなられたそうだ。

 耳が聞こえず、牛舎のあたりで黙々と乳牛たちの世話をしている方だった。よくお会いするので、その都度ぺこっと頭を下げて挨拶をするのだが、大抵は無反応。昔は手話を学ぶ機会もなかったとのことで、なかなか意思の疎通ができなかった。

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