印パに混乱をきたすカシミール自治権剥奪

一つの理由は、カシミールには現在、 選挙された政府が存在しないということである。法律により、特別な地位を剥奪する場合は、地元議会の同意が必要である。今、その同意は、選挙が行われるまで州を管理している知事によって与えられる。モディはまた、8月15日の独立記念日の演説でこの決定に言及したいと思っていたようである。

 もう一つは、地政学的な要因である。7月にパキスタンのイムラン・カーン首相が訪米、トランプと会談した時に、トランプは「モディ首相に頼まれているので、カシミール問題の仲介をする」という信じがたい趣旨の発言をした。トランプは、アフガニスタン戦争を終わらせ米軍をアフガンから早く撤退させようと、パキスタンの協力を得るべく、パキスタンの歓心を買うようなことを言ったのであろう。カシミール問題については、インドはパキスタンとの2 国間で解決していくというのが基本的な姿勢である。モディがそのような仲介を頼むことは考えられない。他方、パキスタンはずっとこの問題の国際化を狙っている。今春の総選挙で、モディ率いるインド人民党(BJP)は憲法370条の廃止を公約に掲げていたが、トランプの発言が、長い間モディの頭にくすぶっていたカシミールの特別地位の撤廃を行う決定を後押ししたのではないかと思われる。

 今回のモディ首相の決定は、70年間以上も存在してきた秩序をひっくり返してしまうものである。

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