気候変動で高まる経済リスク、圧力増す「TCFD」の正体

気候変動で高まる経済リスク、圧力増す「TCFD」の正体

記録的な熱波が欧州に混乱をもたらしている
(THIERRY MONASSE/GETTYIMAGES)

世界的に異常気象が頻発する中、地球温暖化対策として気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に熱い視線が注がれている。「地球」より「自国経済」を優先するトランプ米大統領の反動に対し、TCFDは気候変動に耐えうる「金融の安定性」をキーワードに市場から変革を起こそうとしている。最前線の欧州から報告する。

 この夏、記録的な熱波が欧州を襲った。7月25日、パリで摂氏42・6度を記録、フランスで暑さのため少なくとも5人が死亡した。ドイツで42・6度、オランダで40・7度、英ケンブリッジでも英国史上最高の38・7度に達した。樺太と緯度が同じロンドンでは30度を上回る猛暑は珍しかったが、今や40度が新常態になりつつある。

 英国の鉄道では、「27度」を基準に車両や設備のストレステストを行ってきた。それをはるかに上回る熱波に車内のエアコンが故障したり、中継変圧器が火を噴いて電車が緊急停止したりするトラブルが発生。線路や架線の異常でダイヤが大幅に乱れ、主要駅の一つユーストン駅は閉鎖された。

 ロンドンのヒースロー空港やガトウィック空港でも熱波の後に起きた嵐のため飛行機の欠航や遅延が相次ぎ、大混乱した。こうした異常気象が続けば、企業活動や経済に大打撃を与える。

 実際米国では、代表的な株価指数S&P500に入っていたカリフォルニア州の電力大手PG&Eが今年1月に、気候変動を原因とする初の倒産に追い込まれた。

1 2 次へ

関連記事(外部サイト)