ファーウェイCEOが米国に仕掛けた取引とは

それに、ファーウェイは売却した技術を熟知しているので、ほんの少しでもそれ以上の技術を開発すれば、技術的優位に立てる。市場の独占も、技術独占も可能になってしまう。

 これは任正非によるオリーブの枝である。ファーウェイを破壊しようとのトランプ政権の試みが成功している訳ではない。ファーウェイは苦しいが屈服した訳ではない。中国のほか、米国に近い同盟国を除く諸国では頑張れるとの見方もある。しかし、任正非の提案は苦しさの表現と見るのが自然であろう。そもそも、任正非はメディアに訴えなくとも、トランプ政権に接触して、司法省との交渉と5G技術の売却の提案を直接伝えることが出来た筈である。直接伝えはしたが、事は巧く運ばず、有力メディアを使うことにしたのかも知れない。 ただ、メディアを圧力として使う手法は成功しないであろう。

 ファーウェイの成長の柱である5G技術を競争相手にも使わせるという大胆な提案であるから(任もファーウェイの技術を買うことに関心のある企業があるのか良く分からない)、任正非は思い切った決断をした積りかも知れない。しかし、問題が中国の体制に根ざすものであるために(任自身も人民解放軍の出身である)、技術的に解決が困難であること、つまりファーウェイの背後に中国という国の暗い影を外部の世界が見ていることを、彼が理解しているのかどうかは明らかでない。

  
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