中国の一党独裁は危機的状況なのか?

ただ、ペイは2000年代半ばからずっと「中国は大変なことになる」と主張してきており、今回の分析も共産党政権の弱点を上手に指摘しているが、結論については割り引く必要があるように思われる。「中国共産党の一党独裁体制は持たない」という論は、繰り返し出てくる論であるが、これまでのところ当たっていない。

 一党独裁体制崩壊論が見過ごしてきたことのうち、最も大きいのは、中国共産党の自己改革ないし修正能力を過小評価してきたことであろう。より正確な見通しを立てるには、このことを変数として入れるべきで、「中国共産党は変わり得る」ということを想定する必要がある。「変わらないかもしれないが変わるかもしれない」と言うことである。

 ペイの想定は、習近平の「毛沢東的路線」が続くというものだ。上手くいかなければナショナリズムに頼るという。しかし、習近平路線が行き詰まったときに、より開かれたリベラルな共産党統治が出てくる可能性も排除できないのではないか。この代替路線は、胡耀邦が個人としてほぼ復活している中国の政治状況に鑑みれば、「胡耀邦的路線」となる可能性が高い。

 確かに、習近平の路線変更がなければ、ペイが言うように共産党の統治の維持は難しくなろう。しかし、それがいつ頃になるか予測することは難しい。さらに、「胡耀邦路線」に修正し、生き残ったとしても、共産党の統治能力強化のための習近平改革の多くは維持されるであろう。

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