「令和元年版 怪談牡丹灯籠」時代劇の最高傑作

「令和元年版 怪談牡丹灯籠」時代劇の最高傑作

(chainatp / gettyimages)

BSプレミアム「令和元年版 怪談牡丹灯籠」(10月6日〜27日、毎週日曜午後10時)は、幕末から明治にかけて落語を芸術の域に高めた、初代三遊亭圓朝の大作怪談を完全映像化した作品である。圓朝の速記本は21章にも及ぶ。悲恋と殺人、盗み、裏切り、仇討ちなどが連鎖して、因果応報の物語が展開する。

 牡丹を描いた手持ち灯籠を侍女に捧げさせて、美しい娘の幽霊が深夜にカランコロンと下駄の音を響かせて恋する浪人の元を訪れる「お露・新三郎」の物語は、落語や歌舞伎、映画、ドラマで幾度も取り上げられているが、この大作の一部である。ドラマは、時代劇としても最高傑作の水準である。「牡丹灯籠」の映像作品群のなかで画期となるだろう。

 第1回「発端」(6日)は、因果応報の絡み合う人間の業(ごう)を解きほぐしてみせる。時は、吉宗治下の寛保3年。旗本・飯島平左衛門の長男・平太郎(高嶋政宏)が、刀商の店先でささいなことから浪人の黒川孝蔵とけんかとなり、黒川を切り捨てる。平太郎は一刀無念流の免許皆伝の腕前だった。

 切られる直前、黒川は「ちょうどいい。こんなみじめな生活はうんざりしていたところだ」と吐き捨てた。

 平太郎は、心のなかで「切りたい。切ってみたい」と繰り返したのである。

 その事件から20年後、平太郎は父・平左衛門の名前を襲名して、江戸城の書院番の組頭にまで出世していた。

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