老獪なトランプの算段、米中第1段階合意を深読みする

老獪なトランプの算段、米中第1段階合意を深読みする

11日、劉鶴・中国副首相とトランプ米大統領が会談(代表撮影/Abaca/アフロ)

米中は10月11日、通商問題に関する協議で「第1段階」の合意に達した。トランプ大統領は「米中貿易戦争の終結に近づいている」と言明しただけに、またもや楽観ムードが広がり、株価も上がるだろうし、市況も好転するだろう。果たして米中貿易戦争が終結に向かい、「平和」の時代が到来するのだろうか。

■米中交渉が妥結できない根本的な原因

 昨年(2018年)12月9日の拙稿『休戦あり得ぬ米中貿易戦争、トランプが目指す最終的戦勝とは』を引っ張り出すと、こんな一節があった――。

 「かろうじて戦闘状態の現状維持であり、休戦でも停戦でもなく、激戦を90日先送りしたに過ぎないのである。大胆な仮説になるが、そもそもトランプ大統領は『終戦』を当面の目標としていないのではないかとさえ思う。トランプ氏が目指しているのは、最終的な『戦勝』であって、当面の平和といった短期的利益を前提とする『休戦』や『終戦』ではないからだ。最終的な戦勝を手に入れるために、長期戦や激戦をも辞さないという腹積もりだったのかもしれない」

 当時も米中戦の小休止があって、「休戦」や「終戦」の観測や楽観ムードが広がった。10カ月後の今、双方の戦いが一進一退しながらも、本質的な状況が変わっていない。いわゆる「第1段階」の合意は、農業や通貨など歩み寄りやすい部分に留まり、「小粒合意」に過ぎない。

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