世界秩序は「競争的多極化」へ――日本が採るべき進路とは(前編)

世界秩序は「競争的多極化」へ――日本が採るべき進路とは(前編)

(SEAN GLADWELL/GETTYIMAGES)

世界史の劇的な転換点である「ベルリンの壁崩壊」から11月9日で満30年になる。当時は冷戦の終焉(しゅうえん)で平和な時代が訪れる、という期待感が高まったが、今日の世界情勢は大きく暗転している。「なぜ、こうなったのか」。世界情勢の未来を見渡すためには、まずは大きく変転してきた国際秩序の波動を検証することが必要である。以下、この30年の世界情勢をそれぞれ様相が異なる10年(デケッド)ごとに区切って振り返ってみる。

 最初の10年間は、ベルリンの壁が崩壊した翌月の1989年12月に開かれたマルタ会談から始まった。そこで米国のブッシュ(父)大統領とソビエト連邦のゴルバチョフ書記長が「冷戦は終わった」と正式に確認した。当時は米国もソ連も和解して手を結び、欧州はECからEUへと統合が進み、もう一つの超大国となるのではないかとみられていた。

 また、アジアでは日本が「隆々たる経済大国」として躍進を続けており、将来的には米国に肉薄するほどの経済力をつけ、政治大国としても世界で大きな役割を果たしていくのでは、と言われていた。他方、中国は同年6月に天安門事件を起こして孤立しており、「冷戦後の平和と協調」の流れの中で生き延びるためには、国際協調に努めざるを得ない立場にあった。

 このように冷戦終結直後の世界は、幾つもの大きなパワーが互いに協調し合う多極化した「協調型・多極世界」というイメージがあった。

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