不満噴出によるデモも改善見せないイラク

不満噴出によるデモも改善見せないイラク

イラク・バグダッド市内の貧しい地区、2019年6月29日。
(RobertoDavid/iStock Editorial / Getty Images Plus)

イラクでは10月1日に各地で反政府デモが発生し、発生から1週間で、死者は100人を、負傷者は3000人を超えたと報じられている。10月2日、アブドルマハディ首相は、首都バグダッドに外出禁止令を発令するなどしている。

 今回のデモの理由はいくつかある。直接的な契機の一つには、モスル攻撃をはじめ、ISとの戦いで大きな功績を挙げたアブドゥル・ワハブ・アル・サアディ将軍が9月に左遷されたことがある。サアディと彼の部隊が米国の特殊部隊の支援を受けるなど、米国と緊密な関係にあったことを、イラン系の国民動員軍(Popular Mobilization Forces: PMF)が快く思っていなかったことが左遷の背景にあるらしい。PMFはイラクでの影響力を拡大しようとしており、サアディの左遷はイラク軍の解体を示唆しているとも考えられる。サアディは国民的英雄でもあったので、彼の左遷に反対するイラクの若者が街頭に繰り出した。それ以外に、イランや米国、サウジの干渉に対する愛国主義的反応、バグダッドのグリーンゾーン(元米軍管轄区域)に対する反発などが指摘される。

 しかし、根底にあるのは、国民の窮状への不満の鬱積と、それに対して何もしない政府への怒りだろう。イラクでは社会インフラの整備が進んでおらず、電気や水の不足が深刻とのことである。雇用状況は悪い。イラク中央統計局の発表では2017年の失業率は14.8%であったとのことであるが、イラクの統計の信憑性の問題もあり、実際にはもっと高いことが容易に想像できる。

1 2 次へ

関連記事(外部サイト)