ラテンアメリカが陥った「資源の罠」

ラテンアメリカが陥った「資源の罠」

チリの首都サンチアゴ

何やらラテンアメリカがきな臭い。10月31日、チリのセバスティアン・ピニェーラ大統領は高まる国内の不穏な空気の中、ついにAPECとCOP25(国連気候変動枠組条約締結国会議)開催を断念した。米国のトランプ大統領は、急遽APECの際行うことを予定していた米中首脳会談を、どこか他で行うべく調整中とされる。APECの開催断念はこれまでなかった事態だ。

 チリでは、政府が地下鉄運賃値上げを決めたことに国民が反発、この3週間余り連日デモが続いている。ピニェーラ大統領は燃え上がる抗議の嵐を前に、18日、戒厳令を布告、更にその後、夜間外出令を出したが、抗議は収まるどころか逆に燃え上がった。大統領はやむなくこれらを解除、閣僚の8名を交代させるとともに、年金最低支給額の2割引上げ、最低賃金の引上げ、貧困層の医療負担削減等、融和策を明らかにした。しかし、既に死者20人に上り、なお混乱が収まる気配はない。

 ところで値上げされた地下鉄運賃は30ペソ、日本円にして4円ほどだ。どうして国民は少額の値上げにこれだけ怒りを露わにするのか。

 否、不穏な空気はチリだけでない。ボリビアについては拙稿「ボリビア大統領選の裏の構図」で述べた。エクアドルでは、政府が燃料補助金を廃止したことに国民が反発、デモのあまりの激しさに、大統領は首都を一時移転した。ハイチ、ホンデュラス、ベネズエラ、ペルー等、ラテンアメリカで国民の抗議は燃え盛るばかりで沈静化の気配は一向にない。

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