作り手と使い手をつなぐ「価値」

作り手と使い手をつなぐ「価値」

山田 敏夫(やまだ・としお):1982年熊本生まれ。実家は1917年創業の老舗洋品店。メイド・イン・ジャパン製品に囲まれて育つ。大学在学中、フランスへ留学し、グッチ・パリ店に勤務。近著に『ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命』(日経BP社)。(写真・井上智之)

値段やデザインだけでなく、「作り手の想い」に共感して買う人がいる。そんな仲間づくりを通じて「ファクトリエ」は日本の技術を未来に残そうとしている。

 「30年後、自立する工場が増えていれば、日本の素晴らしいモノづくりの技術は間違いなく生き残っています」

 世界が認める日本の工場とあなたをつなぐというコンセプトで、「Factelier(ファクトリエ)」を運営する「ライフスタイルアクセント」の創業者兼CEO(最高経営責任者)の山田敏夫は、そう言ってさわやかな笑顔を見せた。

 大手の洋服メーカーからの仕事を請け負う各地の縫製工場は、安い海外工場との競争で低価格での納品に追われ、社員の平均年収が200万円を切るところもある。世界的に通用する技術を持ちながら、きちんとした価格で売る術(すべ)がないことが原因だ。

 そんな工場を回ってファクトリエとの取引をもちかけ、工場が儲かる「言い値」で仕入れる。それを「作り手の想い」に共感してくれるファクトリエの顧客に売るのだ。中間流通を排除して工場から直接仕入れるため、工場もファクトリエもともに利益を得られるという、ビジネスモデルだ。

 山田は2012年の創業以来、これまでに670以上の工場を回り、今では55の工場と契約するまでになった。

 「だいたい工場の生産の2割が当社向けに変われば、利益が大きく改善して工場が自立できるようになります」

 決してファクトリエのモデルがアパレル業界のメジャーになることはない、ということは熊本の洋品店に生まれ育った山田には痛いほど分かる。

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