“影の支配者”イランに深刻な打撃、イラク首相辞任の背景

“影の支配者”イランに深刻な打撃、イラク首相辞任の背景

アブドルマハディ政権を批判する市民(AP/AFLO)

イラクで反政府デモが吹き荒れる中、アブドルマハディ首相が11月29日辞任すると表明した。イラクでは政治改革などを要求する若者らのデモが全土に拡大、治安部隊との衝突で400人以上が死亡しており、首相は事実上、辞任に追い込まれた格好だ。だが、最も深刻な打撃を受けたのは同首相を誕生させたイランだ。

■長く育てた“資産”

 10月初めから続くイラクのデモは当初、進まない政治改革や広がる汚職・腐敗、高い失業率、未整備のインフラなどへの不満によるものだった。だが、次第にイラクを事実上支配するイランへの怒りに変わった。イランがイラクの政治、経済を牛耳り、石油収入などのイラクの富を奪っているという理由だ。

 それが具体的に示されたのが相次ぐイラン領事館への襲撃だ。11月4日には聖地カルバラにある領事館にデモ隊が殺到し、火炎瓶などを投げつけ、建物の一部が損傷した。11月27日には、今度は同じ中部の聖地ナジャフにあるイラン領事館が襲われ、放火された。現地からの報道によると、治安部隊が催涙弾や実弾を発射し、数十人が死傷した。

 暴力が全土に拡大する事態に、シーア派の最高指導者シスタニ師は「これ以上イラク人の血が流れないようにするための方策を検討すべきだ」と呼び掛け、アブドルマハディ首相が声明で辞意を表明した。国会は一両日中にも辞表を受理し、新たな首相選びが始まる見通しだ。

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