揺れるラテンアメリカとブラジル新自由主義改革の行方

揺れるラテンアメリカとブラジル新自由主義改革の行方

サンパウロ市内(Ranimiro Lotufo Neto/gettyimages)

ブラジルのパウロ・グエデス財務相が快挙を成し遂げた。国家公務員の年金制度にメスを入れたのだ。これまで、その余りに巨額な支出が国家財政をむしばむ最大の原因と言われながら、誰もが切り込むことができなかった聖域だ。グエデス財務相は、ブラジルが抱える30年来の課題をついに解決した、と胸を張る。

 その勢いをかって、さらに他の宿弊にも切り込む構えだ。グエデス財務相の拠って立つ思想は新自由主義だ。政府をスリムなものにし、市場の活力を取り戻す。しかし、そのまさに同じ思想が隣のチリで民衆により否定された。チリ国民は、新自由主義の下で拡大した格差に怒り、政府に抗議の狼煙を上げる。ラテンアメリカが抱える問題の解決に、果たして新自由主義は有効なのか、無力なのか。

 10月22日、ブラジル議会は国家公務員年金制度改革法案を可決した。これにより、向こう10年にわたり1960億ドル(約21兆円)が削減されるという。年金制度は国家公務員に対し、一般国民とはかけ離れた待遇を保証するものとして長く批判の対象となってきた。ブラジルの財政は債務が膨らみ既に火の車だ。その最大の元凶が年金制度だ。これを改革しなければならないことは誰もが分かっている。しかし、63万の国家公務員を擁する組合が歴代政権の改革案をことごとく闇に葬ってきた。それを今回、グエデス財務相がついに成し遂げた。どうしてそれができたのか。

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