米中間に立ち上がる「デジタルのベルリンの壁」

ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニストであるトーマス・フリードマンは、11月26日付の同紙にて、米中関係が単なる貿易戦争の域を越えて、全面対決の様相を帯びてきていると指摘した。この指摘は、フリードマンに始まったことではない。すでに、米中関係は新しい冷戦であるとも言われている。フリードマンの論説の注目点は、米中関係が過去40年の統合から分離状態になる結果、これまでのような世界経済が破たんするのみならず、米国が打撃を受けるという点である。

 米中関係が「デジタルのベルリンの壁」と言われるような状況になる理由は、中国の米国に対する挑戦である。新興国の既存の覇権国に対する挑戦は、ギリシャの歴史家トゥキディデスが「戦史」で描いたスパルタに対するアテネの挑戦以来いくつも見られ、その多くは戦争に至っている。

 米国に対する中国の挑戦をもっとも端的に象徴したのが、「中国製造2025」計画だったのではないか。同計画は2049年の中華人民共和国建国100周年までに、中国が「世界の製造国」としての地位を築くことを目標に掲げたものであり、先端技術を中心に米国に追いつき追い越そうとの意気込みを示したものである。ハイテクで米国に追いつき追い越すということは、軍事技術でも米国に追いつき追い越すということも意味する。米国はこれを自国に向けられた全面的挑戦と受け止め、中国が不法な手段で米国の技術を盗み続けていたことと合わせ怒りを露わにした。

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