米中間に立ち上がる「デジタルのベルリンの壁」

米国政府のみならず議会が、与党共和党のみならず民主党も、中国批判を強めた。米国は、一時中国が経済発展をするにつれ「責任ある当事者」になることを期待したが、その期待は裏切られた。中国が米国の虎の尾を踏んだというのは言い過ぎかもしれないが、それに近い状態を招いたのである。

 フリードマンは、米国はこれまで中国も包摂する最も開かれた社会で、世界中から人材を集め、技術覇権国としての地位を築いてきたが、「デジタルのベルリンの壁」が築かれる結果、米国の技術優位を維持するために必要な世界の投資資金、顧客や科学者、エンジニアから米国を切り離してしまうのではないかと憂慮している。そして、米国と中国は立ち止まって、「デジタルのベルリンの壁」が築かれる結果どうなるかを自問すべきであると言っている。

 しかし、自問しても「デジタルのベルリンの壁」を築く勢いは止められないだろう。5Gに関連したファーウェイをめぐる米中対立等を見ても明らかだろう。これは実はフリードマンも分かっていて、米中関係は崩壊に向かっているという悲観的な結論を出している。

 フリードマンは米中の対立は地殻変動ともいうべき変化だと言っているが、その通りだろう。それは世界経済のルールを変えるものであり、世界経済に深刻な影響を与えかねない。日本も今後の米中対立の行方を注意深くフォローし、適切な対策を講じていく必要がある。技術の競争が軍事にも結び付くという意味では、日本は米国と同盟を組み、民主主義の発展と平和の維持に協力して行かなければならない。世界秩序の地殻変動においても、充分、一定に役割を担うことができるだろう。

  
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