WTO上級委員会危機の現在

WTO上級委員会危機の現在

(ロイター/アフロ)

■上級委員会の現状

 世界貿易機関(WTO)発足からこの月末で満25年を迎えようとするこの12月11日、国際通商関係の法の支配を司ってきたWTO上級委員会が、ついに機能停止に陥った。下図のとおり、本来定数7人の上級委員のうち、2017 年6月末に退任したラミレス?ヘルナンデス委員以来、6人の後任を選任できずに今日に至っている。この12月10日に2人の上級委員の任期が切れ、事件の審理を行うのに必要とされる最低数(3人)を割り込んでしまった。

■上級委員会とは?

 上級委員会は、WTOの「最高裁判所」である。WTO紛争解決手続は二審制を敷いており、一審が小委員会(いわゆるパネル)、そして二審が上級委員会である。パネルは紛争の当事国でない加盟国から専門家(WTO本部のあるジュネーブでWTOを担当する各国外交官、またはその経験がありジュネーブのコミュニティーで顔の知られた各国政府職員が選任されることが多い)が3人選ばれる。パネルは国内裁判と同じように、一審として事実認定および協定の解釈・当てはめの双方を行う。

 パネルは事件ごとに組織され、パネリストはその場限りの仕事になる。パネリストが異なれば、異なる事件のパネルで条文の解釈が一貫し、同じような案件で同じような判断が出るとは限らず、ばらつきが出るおそれがある。

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