欠陥が見えてきた宗派・宗教での権力分割

欠陥が見えてきた宗派・宗教での権力分割

(Ket4up/jfmdesign/iStock / Getty Images Plus)

イラクとレバノンでは政府への激しい抗議運動が続いている。これに関して12月7日付のエコノミスト誌の論説‘Time for Iraq and Lebanon to ditch statesponsored sectarianism’は、良い結果をもたらさなかった現行の宗派・宗教間の権力分割体制を人々が否定するのは正しい、と言っている。論説の内容をかいつまんで紹介すると次の通りである。

・イラクでは、米国が全ての勢力を満足させようとして、利益供与を促し、政党と民兵組織を強化する体制を作ってしまい、民族的、宗派的分裂はかえって強固になった。イラクではこうした政党のどれかと繋がっていなければ、政治的成功は難しい。政党は省庁を現金自動支払機のように扱い、能力ではなく、忠誠心に基づいて政府の仕事を分配しており、その結果、腐敗が蔓延している。

・レバノンも同様で、国土を荒廃させた軍閥が政治家になって国富を収奪している。政府はスンニ派、シーア派、キリスト教徒の利益供与体制に資金を与えて巨額の負債を蓄積、世界銀行の推定では、この権力分割体制に絡む浪費額は毎年レバノンのGDPの9%に及ぶ。財政危機が迫るレバノンは、負債の返済を繰り延べし、改革を行う必要があるが、指導者たちにはその能力がない。

・両国の人々は自分たちの考えを反映し、自分たちの利益を代表してくれる政治体制を擁してしかるべきだ。

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