異例の「新年演説なし」に見られる金正恩の苦悩

異例の「新年演説なし」に見られる金正恩の苦悩

(AP/アフロ)

今年の北朝鮮は元日から小さなサプライズを演出した。金正恩国務委員長による恒例の「新年の辞」演説が行われなかったのだ。その代わり、1月1日の朝鮮労働党機関紙『労働新聞』は昨年末に開かれた党中央委員会第7期第5回全員会議(総会)の内容を詳細に報じた。会議の内容に関する記事は、全8ページのうち1〜5面を埋め尽くした。

 新年の辞は、その年の施政方針演説とも言えるものである。金正恩委員長の祖父である金日成主席は毎年元日の朝にラジオ演説を行った。演説を得意としなかった金正日国防委員長の時代には『労働新聞』など3紙の元日付に「新年共同社説」を掲載していたが、金正恩委員長が2013年から演説形式に戻した。金正日委員長は2011年12月17日に死去しており、実質的には金正恩時代のスタイルは「新年の辞」演説をテレビ中継ということになっていた。

 7年連続で公表されてきた新年の辞を行なわなかったのは、年末まで全員会議を開催したことに伴う臨時の策なのか、現時点ではよくわからない。昨年4月には国会にあたる最高人民会議で初めて「施政演説」を行なったが、この「施政演説」を従来の新年の辞に代えるつもりなのかもしれない。ただ、ここまで例外的な措置は金日成時代から見ても珍しい。しかも党の会議であるにもかかわらず、国家機関の幹部を解任したり任命したりもした。既に9年目に突入した金正恩政権は、依然として予測困難な変化球を投げてくる。

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