中国に拘束された香港の書店主、いま台湾へ

1月11日に投票が行われる台湾の総統選挙。現状では、現職の民進党・蔡英文総統が、対立候補の国民党・韓国瑜・高雄市長、親民党の宋楚瑜・同党党首に大差をつける形でリードしている。もともと劣勢と思われた蔡英文氏のV字回復は、昨年6月から揺れ続けた香港情勢を抜きには語れない。その香港から、台湾へ、逃亡や移民などの形で生活拠点を移す人々がいま多数現れている。台湾総統選を控えた台湾に暮らす香港人たちに、台湾選挙や香港情勢、自分たちを異郷に追いやった中国に対する思いを語ってもらう。

 「台湾はいいなあ。生活しやすい。ご飯も美味しい。ありがたいのは自助餐(台湾式ビュッフェ)。香港にはない。多くのおかずが安く食べられるから嬉しい」

 会うなり、台湾を褒め始めた。表情が明るい。香港での記者会見などで見た林栄基は、いつも陰鬱な表情を浮かべていた。

 2015年に香港で起きた「銅鑼灣書店」関係者失踪事件から4年が過ぎた。拘束先の中国から香港へ戻り、中国の指示に背いて告発の記者会見を開いた元店長の林栄基は、台北に居を定め、書店の再建を目指し準備に奔走していた。

 表情が明るいですねと私が言うと、当たり前だ、という感じで、にっこりと笑った。

 「香港に戻った後も、ずっと気分が苦しかった。台湾に来てから、尾行にも気を付けなくてよくなった。

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