疑うべき米中貿易合意

疑うべき米中貿易合意

(bobmadbob/iStock / Getty Images Plus)

12月15日のワシントン・ポスト紙の社説は、今回の米中貿易合意を疑ってみるべきだと懐疑論を述べるとともに、トランプ政権の対WTO姿勢を批判している。この社説は、トランプの対中貿易交渉の詰め方や発表振り、WTO等世界貿易に対する姿勢等につき信用が地に落ちていることを示している。内容が曖昧である、何を譲歩し何を獲得したかが明確でない、世界を「永遠の対決」と考えている、WTO 紛争解決制度などを守っていこうとの考えが希薄であること等を批判する。いずれの指摘も当たっている。

 しかし、米中が部分的合意に達成したことは歓迎すべきことである。選挙を来年に控えるトランプにとり最初の交渉成果となった。市場は合意発表を歓迎している。2018年3月に始まった米中貿易戦争は世界経済に不必要な問題と歪曲を引き起こしてきた。しかし産業補助金など多くの問題が未解決のまま残っていることも事実である。

 今後は合意の実施が重要である。米中の発表には、米製品の輸入、米農産品の輸入、関税の撤廃などについて微妙な食い違いが見られる。問題は、ライトハイザー通商代表が述べた来月第一週の文書署名は予定通り進むのか(中国は具体的に言及せず)、文書は双方を拘束する約束文書になるのか、中国は農産品等の大量買い付け(2年で2000億ドル)や知財保護などの改革を合意通り実行するか(既に中国からは不確かな発言もある)、トランプが目論んだ米国の対中貿易赤字は縮小するのか、米国が発動中の関税引き上げはどうなるのか(中国は更なる米国の関税撤回を示唆)、産業補助金など第二段階の交渉は直ぐに始まるのか(もう行われないのではないかとの見方もある)などである。

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