ゲームプラン・戦略欠如のトランプ対イラン政策

ゲームプラン・戦略欠如のトランプ対イラン政策

(iStock.com/flySnow/Purestock)

イラン革命防衛隊「コッズ部隊」のスレイマニ軍司令官殺害は、その影響や戦略的展望をまったく無視したトランプ大統領個人の衝動的判断によるものだった。しかし、そのつけは今後の米イラン関係、さらには中東全域の戦略展開に重くのしかかってくる恐れがある。

 世界に衝撃を与えた米軍によるスレイマニ司令官殺害めぐり、その後、実施にいたるまでのホワイトハウス、国務、国防総省間での事前協議のドタバタぶり、見解のずれなどが、米マスコミで一部報道され始めている。

 しかし、こうした米政府内の混乱の背景にあるのは、大統領自身の情勢認識不足、戦略思考の欠落だ。さらに、政権内で国家安全保障問題を取り仕切るだけの有能かつ経験豊富な人材不足の影響も指摘されている。

 「世界は(殺害実行により)より安全になった」――大統領は作戦に踏み切った翌日の去る3日、滞在先のフロリダで記者団にこう豪語してみせたが、これも現実と明らかに乖離した短絡的思考を示すものだ。内外の軍事専門家の多くは、今後、米・イラン関係がかつてなく険悪化しかねないとの懸念を表明している。作戦実施直後に、中東への3500人規模の米軍部隊増派を発表したことも、矛盾以外の何物でもない。

■超党派的支持を得られるとの甘い期待

 ワシントンポスト紙報道によると、殺害実行が発表されたその直後に、議会民主党のナンシー・ペロシ下院議長はじめ有力議員たちが一斉にこれを非難する声明を出したことについて、大統領は側近たちに「驚きと意外」の反応を示したという。

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