米国のイラン司令官殺害の法的、政策的な問題点

米国のイラン司令官殺害の法的、政策的な問題点

Racide/iStock / Getty Images Plus

1月3日、米軍はトランプの指示で、イラクのバグダッドで、イランの革命防衛隊の精鋭部隊「クッズ部隊」のソレイマニ司令官をドローンによる攻撃で殺害した。これは一言で言って、無謀な行為であると言わざるを得ない。

 昨年12月27日、民兵組織カタイブ・ヒズボラ(クッズ部隊の代理部隊に当たる)が、キルクーク近辺のイラク基地を攻撃、米国人1人を殺害、米兵4人を負傷させた。その報復として、米軍は12月29日、イラクの3か所、シリアの2か所のカタイブ・ヒズボラの拠点を攻撃し、カタイブ・ヒズボラの戦闘員少なくとも 25 人が死亡、55 人が負傷したという。カタイブ・ヒズボラ側は、12月31日から1月1日にかけて、バグダッドの米大使館周辺にロケット弾を撃ち込むなどしていた。そういう緊張状態があったが、今回のトランプ政権の行為はそういう中東でよくある紛争・緊張とは次元が異なる。

 ソレイマニは革命防衛隊というイランの正規軍の司令官であり、その殺害は戦争行為と言われても、弁明のしようがない。

 法的には、大きい問題が4つある。

 第1:国連憲章下では、他国への武力行使は、国連安保理が許可するか、あるいは自衛権行使以外に正当化されない。米は安保理の許可を得たわけではないから、自衛権行使としてしか、これを正当化できないが、自衛権行使の要件が整っていたのか、疑問がある。

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