金持ちが重宝するスキャンダルもみ消し、民間調査会社を使ったスパイ活動

金持ちが重宝するスキャンダルもみ消し、民間調査会社を使ったスパイ活動

1月21日、ニューヨークの裁判所に出廷するハーベイ・ワインスタイン氏(AP/AFLO)

■今回の一冊■
『Catch and Kill』
筆者 Ronan Farrow
出版 Little, Brown

 ハリウッド映画界の大物プロデューサーによる性的暴行疑惑を追ったジャーナリストが、その困難だった取材プロセスをまとめたノンフィクションだ。被害にあったと噂される女性たちを見つけ出し証言を引き出そうとするものの、スキャンダルを暴かれることを恐れる大物プロデューサーは、イスラエルの諜報機関の元工作員やアメリカの検察OB、大物弁護士らプロ集団を雇って取材を妨害する。

 記者たちや被害女性たちを、プロの調査員が尾行して監視するとともに、身辺を探って弱みが見つかれば、それを材料に口封じ工作をするのだ。イスラエル空軍出身の美人スパイが別人になりすまし、監視の対象者に直接会って情報を引き出す。悪いことをした張本人が自己保身のために札束でその道のプロを雇い、真実が暴露されるのを止めようとする。元特殊部隊のプロたちを雇い日本から逃亡したカルロス・ゴーンのような例は、実は世界では珍しくないことが分かる。

 本書のタイトルの『Catch and Kill』とは、まずい話をキャッチして、ネタを持っている人に口封じの金を払って黙らせ、スキャンダルを握りつぶすことを意味する。政治家など有力者の息のかかったタブロイド紙が、取材の形で内部告発者や情報提供者に接触し、他のメディアには話さないことを約束させて金を払い、そのまま話を闇に葬り去るやり口だ。

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