「日本は稼げない国」、優秀な人材はやってこない



 「大学の同級生は、お金持ちや特権階級の子どもたちばかりでした。まるでネイティブ・スピーカーみたいに英語を話していて、驚きました。親にお金があるので、小さい頃から勉強しているんです」

 フーンさんはよい仕事に就き、家族を助けたかった。しかし、大学卒業時にベトナム特有の「壁」にぶつかることになる。

 彼女は欧米の大学院への留学を望んだ。ベトナムの若者にとっては最高のエリートコースである。だが、国費などの奨学金が割り当てられるのは、政府関係者などの子弟ばかりだった。

 「ベトナムは個人の実力以上に、コネや賄賂がモノを言う国です。いくら努力しても、どうにもならないことがある」

 賄賂の蔓延については、大学時代のアルバイトを通じて目の当たりにしていた。

 アルバイト先は大手の旅行代理店で、政府機関の海外視察なども請け負っていた。経営者はフーンさんをかわいがり、顧客である政府機関担当者への接待にも同行させた。彼女は当時をこう振り返る。

 「接待では、高級なレストランが使われました。そこで賄賂のお金を渡すのです。金額は少ないときで5万円ほど、多いと50万円にもなりました。しかも一度だけではありません。テト(ベトナムの旧正月)のような祝日から相手の奥さんの誕生日まで、何かにつけて接待します。

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