貿易外交でまだまだ続く「トランプ劇場」

貿易外交でまだまだ続く「トランプ劇場」

The Washington Post/The Washington Post

1月15日、ホワイトハウスでトランプ大統領と劉鶴副首相は、「第一段階」の合意に署名した。貿易戦争の更なる悪化が当面避けられたことは安堵をもって迎えられたが、双方の高関税は維持されたままである。知的財産権の保護、為替操作など米国の要求に係わる一連の規定は盛り込まれたが、国の産業補助金と国有企業改革を巡る対立は持ち越しとなった。この合意を、実際に中国が遵守出来るかという問題もある。紛争解決という建前であるが、合意違反と見做せば一方的に対抗措置を取り得る仕組みが規定されており、対立激化のリスクと隣り合わせである。

 「第一段階」というが、次なる交渉の見通しはない。総じて先行きは不透明というのが大方の見方のようである。

 この合意を受けて、米国は昨年12月に第4弾の残り1600億ドル分の対中輸入に対して予定していた追加関税の発動を見送っていたが、9月1日に発動した第4弾の1200億ドル分に課した15%の追加関税を7.5%に半減する。それ以前に2500億ドル分に課された25%の追加関税は、今後もそのまま維持される。

 一驚を喫することは、この合意の一方的な性格である。すべて中国の負う義務を書き連ねたものである。この種の貿易協定は例がないのではないかと思われる。その義務の中には金融サービス分野の市場開放や規制緩和、あるいは技術移転の強制の禁止など、既に中国が講じた措置の焼き直しも含まれてはいるが、中国としては一方的な性格の合意を甘受しても、中国経済の止血を施す必要に迫られていたのであろう。

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