米中通商合意が教えてくれたこと

米中通商合意が教えてくれたこと

CreativaImages/iStock / Getty Images Plus

1月15日に署名された第1段階の米中通商合意は幾つかのことを教えてくれた。

 第1は、この2年間のトランプ政権による関税を梃とした保護主義という実験は誤りだったことを証明したことである。すなわち、関税によって貿易障壁を高めても自国製造業は再生せず、貿易収支赤字の総額は期待したほど改善しないのである。米国の2019年11月までの対中国貿易収支赤字は560億ドル減少したが、対中国以外では490億ドル増加し、総額では 70 億ドルの減少に過ぎなかった。ちなみに、この減少分は米国の石油輸入の減少にほぼ見合っている。

 第2は、今回の米中合意がこうした失敗に懲りて自由貿易原則への復帰という内容であれば、世界は喝采を送ったであろう。しかし、現実は自由貿易とは真逆の管理貿易という“量”によって保護主義を強化することを表明したのである。数量目標を伴った管理貿易は貿易転換効果を生むだけであって、市場の競争によって貿易を拡大させるというメカニズムは内包していない。中国当局は数値目標にかかる日本のかつての苦い経験を学ぶことはしなかった。例えば、日米半導体協定(サイドレター)における外国半導体シェアは20%目標だった。数値目標は市場メカニズムに人為的な枠をはめ込むものであり、当該産業のみならず経済全体の成長を損なうことは日本の経験が証明しているのである。

 第3は、今回の米中間の数値目標の実現可能性についてである。

1 2 3 次へ

関連記事(外部サイト)