日本製°`足は新国立競技場をどう駆け抜けるか

日本製°`足は新国立競技場をどう駆け抜けるか

東京パラリンピック代表候補の佐藤圭太選手が実際に走り、義足が開発された

パラリンピックの義足ランナーのほとんどがヨーロッパ製の義足に頼り、日本の選手たちはそれに順応させる形で競技に臨んでいた。2014年、日本の研究者、アスリート、素材メーカーが“三位一体”となって選手の走り方に合わせた義足製作が始まった。

 米マサチューセッツ工科大学に所属していた研究者の遠藤謙氏は同年に義足開発ベンチャー「Xiborg」を起業した。高校の後輩が骨肉腫を患って足を切断したのをきっかけにロボットなど「二足歩行」の研究をはじめ、義足に可能性を見出し、競技用の開発に進んだのである。

 開発研究の過程で選手やコーチの声に耳を傾けると、「速く走れるようになる義足は選手によって絶対に違う」とニーズが顕在化した。そこで“オーダーメイド”での義足製作にこだわった。素材選びでは炭素繊維(カーボンファイバー)に注目した。炭素繊維は鉄に比べ軽さが4分の1、強度は10倍で弾性率も7倍。しかも錆びず耐熱性や耐低温性にも優れている。航空機体や風力発電機翼と広い分野に用いられるなど、設計の自由度も高いのがその理由である。

 ただ、その扱いは難しくて手に負える代物ではなかった。選手により良い義足の技術や設計ができたとしても、それに合わせた素材の成形ができなかった。そこで出合ったのが、炭素繊維の世界的シェアを誇る東レの100%子会社「東レ・カーボンマジック」(以下、カーボンマジック)だった。

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