衆院選前にあえて考える、 「政治的無知」が大多数の現実と民主制(民主主義)が抱える問題点 【橘玲の日々刻々】

衆院選前にあえて考える、 「政治的無知」が大多数の現実と民主制(民主主義)が抱える問題点 【橘玲の日々刻々】

Photo : lightsource / PIXTA(ピクスタ)

自民党新総裁に岸田文雄氏が選出され、10月31日投開票の衆院選が公示された。誰に投票しようか悩んでいるひとも多いだろう。そこで今回は、イリヤ・ソミン『民主主義と政治的無知 小さな政府の方が賢い理由』(信山社)を紹介したい。

 ソミンは1973年に旧ソ連のサンクトベルクに生まれ、アメリカで高等教育を受け、現在はジョージ・メイソン大学ロースクール教授。政府の権限の最小化を求めるリバタリアン(自由原理主義者)で、本書でも有権者の「政治的無知」によって民主政(デモクラシー)が理想とかけ離れていることが雄弁に語られる。

 とはいえ、ソミンの目的は民主政を否定することではない。逆に、「ソヴィエト連邦から合衆国への移民として――共産主義とナチズムの両方の被害者たちを親類に持つ者として――私は独裁政にまさる民主政の長所を痛いほど感じている」として、「民主政の権力がもっと厳しく制限されているならばその機能はよりよくなるという可能性は残っている」と述べる。

 原著は2013年刊で、オバマ政権での医療保険制度改革(オバマケア)が政治問題化し、民主党・共和党の分極化が進んでいく時期にあたる。

日本人の約3分の2は政府の14の省庁の名前を半分もあげられない「政治的無知」「政治的無知」の調査はアメリカで詳細に行なわれていて、それによると、平均的なアメリカ人は大統領が誰かは知っているが、それ以外の知識はきわめて心もとない。

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